誤診されやすい口囲皮膚炎の特徴(子供)
口囲皮膚炎(プロトピック・コレクチム・モイゼルトで悪化する)
小児の口囲皮膚炎は誤診されステロイド・プロトピック・コレクチム・モイゼルト軟膏といったアトピー性皮膚炎に使われる外用剤を処方されることがかなり多いです。なぜ誤診されるのか?
① 臨床像が「湿疹」に非常によく似ている
小児の口囲皮膚炎は
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紅斑
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小丘疹
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軽い鱗屑 を呈し、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎、乳児湿疹と見た目が酷似しています。
特に小児では
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強い痒みが目立たない
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びらんや滲出が少ないため、「非典型的な湿疹」と判断されやすくなります。
② 「口囲皮膚炎は大人の疾患」という先入観
口囲皮膚炎は
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成人女性に多い
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化粧品・外用ステロイド関連
というイメージが強く、小児では想起されにくいことが誤診の一因です。
そのため「小児で口囲皮膚炎はまれ」という認識が、診断の選択肢から外してしまうことがあります。
③ ステロイド外用による一時的改善が誤診を強化する
ステロイド外用により
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炎症・紅斑が一時的に軽快
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家族・医師ともに「効いている」と判断
➡ しかし
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中止すると悪化(リバウンド)
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使用を続けるほど慢性化・難治化
という典型的な悪循環に陥ります。
④ 口囲皮膚炎に特徴的な所見が見逃されやすい
見落とされやすい重要所見として
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口唇縁直下が保たれる(vermillion border sparing)
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鼻周囲・眼囲に拡大
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面皰を欠く
がありますが、忙しい外来では「口の周りの湿疹」として一括りにされがちです。
⑤ 鑑別疾患が多く、除外診断が必要
小児口囲皮膚炎の鑑別には
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アトピー性皮膚炎
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接触皮膚炎(よだれ、歯磨き粉、マスク)
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脂漏性皮膚炎
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伝染性膿痂疹初期
などがあり、除外診断が必要な点も診断を難しくしています
一見湿疹に見えますが、ステロイドで悪化しやすいタイプの発疹です


