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アトピー性皮膚炎
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アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰り返し、そう痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持ちます。アトピー素因とは、①家族歴・既往歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、あるいは複数の疾患)、または②IgE抗体を産生し易い素因を指します。アトピー性皮膚炎の治療は、炎症を抑える(ステロイド外用、タクロリムス外用)、皮膚バリア機能の回復(保湿剤、スキンケア)、悪化因子の除去(環境アレルゲン、食物アレルゲン、金属アレルギーなど)の3本柱です。そのうちのどれもおろそかにはできません。上記のような外用で上手くいく患者さんもいますし、それだけでは不十分な患者さんもいます。ナローバンドUVBなどの紫外線治療も有効です。また、当院でもデュピクセント・ミチーガやアドトラーザ、イブグリースとよばれる生物学的製剤による治療や、オルミエントやリンボック、サイバインコなどのJAK阻害薬の内服療法、コレクチム軟膏(JAK阻害薬)、プロトピック軟膏、モイゼルト軟膏などの非ステロイド外用剤を用いながら治療を行っております。小児のアトピー性皮膚炎の方にもステロイド外用剤、小児プロトピック軟膏、コレクチム軟膏(JAK阻害薬)、モイゼルトなどで治療を行っています。特に、デュピクセント希望の患者様が多く来院されています。
じんま疹
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皮膚の一部が突然に、赤く盛り上がり、かゆみを伴う発疹が生じます。発疹の特徴は“蚊に刺されたような”と表現されることが多く、かゆみを伴うことがしばしばです。多くのじんま疹は突然に現れ、跡かたなく消えてはまた現れるということを繰り返します。じんましんは、主にヒスタミンとよばれる物質により症状が起こります。何らかの刺激で皮膚のマスト細胞という細胞からヒスタミンが放出されると、血管への作用により皮膚の赤みやふくらみを神経への作用によりかゆみを起こします。抗アレルギー剤の内服で治療を行います。特定の刺激に反応してあらわれるタイプの場合には原因となる刺激を避けることも必要になります。ゾレアやデュピクセントよる生物学的製剤の注射の治療も行っております。
白癬(水虫)
足や手に水ぶくれができたり、かさかさした皮の剥けたような症状が起きて痒くなります。痒みは無い人もいます。指の股がふやけて白くなったりもしますし、かかとが硬くなったりする人もいます。股や、脇などむれる所にもよくできますが、体のなんでも無い所にできるのは、糖尿病があったり、ステロイド治療を受けている人などに多く、あまり普通の人はなりません。爪に入ると、爪が黄白色に混濁し肥厚します(ごつくなります)。苛性カリ直接鏡検法で白癬菌を確認します。確認後、足の白癬に対しては通常外用療法、爪の白癬に対しては外用療法や内服療法によって治療を行います。
疣贅(いぼ)
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ヒト乳頭腫ウイルスの感染によって起こります。手指、足などに起こります。子供や大人などあらゆる年代に起こります。表面が硬く、盛り上がった状態です。治療は液体窒素を用います。難治な場合にはヨクイニンなどの漢方療法や、外用療法も組み合わせて治療を行います。
※水いぼの除去は平日の予約制です。予約をとり、御来院ください。
診断された際に、家族様に治療の方法を説明いたします。
麻酔のテープを貼って1時間後から処置が可能になります。
いぼについて、種類や治療をまとめたものをスタッフインスタグラムにて投稿しています。
ウイルス性のいぼ①はこちら
ウイルス性のいぼ②はこちら
非ウイルス性のいぼはこちら
にきび
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毛穴に起こる慢性炎症性疾患です。毛穴のつまり、アクネ菌、ニキビダニ、生活習慣など様々な要因が重なっておこります。保険診療で行う内服療法や漢方の内服薬、外用療法、自費診療で行うサリチル酸マクロゴールによるケミカルピーリングなどがあります。また、当院ではニキビ肌向けの石鹸も販売しております。最近はマスクが欠かさないために生じるマスクニキビも増加をしております。また、顔脱毛(レーザーフェイシャル)を行うことによりざ瘡もできにくくなります。
乾癬(かんせん)
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皮膚が赤くなって盛り上がり、魚のうろこ、あるいは雲母状になった銀色っぽいふけの様な皮が、厚ぼったく付着したりぼろぼろ剥がれ落ちたりする病気です。うつる事はありません。原因もはっきりしないことが多いですが、生活習慣病と関連してでてくることもあります。経過の長い病気で、内服療法や外用療法や紫外線療法を行います。
当院長は乾癬外来の経験もありますので、なんでもご相談ください。
当院は日本皮膚科学会の乾癬生物学的製剤の承認施設になっております。クリニックでの乾癬の生物学的製剤の維持(継続)療法を希望される方は来院ください。
酒さ・酒さ様皮膚炎
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「酒さ(赤ら顔)」やステロイド外用剤やプロトピック軟膏、コレクチム軟膏の誤った外用療法の長期使用により生じた「酒さ様皮膚炎」という病気があります。患者さんが自覚される症状は、冬に暖房が入るようになって顔がほてる、顔がひりひり、いじいじする、不快感などがあります。海外では、メトロニダゾール軟膏が広く使われておりますが、日本国内では保険適応となり現在保険で治療が可能です。患者様によっては、テトラサイクリン(ミノマイシン)の内服療法も併用して行います。もちろん、使用していたステロイド外用剤やプロトピック軟膏、コレクチム軟膏の使用は中止していただきますが、中止によりリバウンドを認める方もおられます。
酒さには4型に分類されます。①紅斑・毛細血管拡張型②丘疹・膿疱型③鼻瘤型④眼型(眼合併症)に分類されます。①型と②型に対してはメトロニダゾール外用薬を用いて保険診療で行っております。当院は他にアゼライン酸、イベルメクチンクリームによる自費治療もおこなっております。治療は長くなるため生活指導も重要なものになります。その生活指導ですが、もともと/合併している皮膚疾患の治療や、寒暖差や紫外線などの環境因子の回避、アルコールや香辛料の過剰摂取、不規則な生活リズムの是正などです。化粧に関しては、接触皮膚炎を起こしているのでなければ化粧は今まで通りしていただき治療(ステロイド外用剤やプロトピック軟膏・コレクチム軟膏・モイゼルト軟膏の中止、メトロニダゾール軟膏の外用)を行います。
また、当院では紅斑・毛細血管拡張型の酒さに対して、Vビームより痛みが少なく副反応(ダウンタイム)の少ないIPL(光治療)(フォト治療)治療器の「ノーリス」を導入しています。ノーリスの機械による治療も行っております。ノーリスは2023年に国内ではIPLとしては唯一の血管病変に薬事承認を取得した機械になります
レーザー、IPL(光)施術による悪化を心配される方には、スプリングを用いたエレクトロポレーション(赤みに対して)を行っております。ノーリスの施術後に併用して頂くことも可能です。
※酒さ・酒さ様皮膚炎の方で、他院での治療歴が多い方は、今までの治療経過(歴)(薬剤歴)など紙やなどに書いてくださりますと助かります。薬剤歴がわかりますので、薬手帳も持参ください。
・酒さ・酒さ様皮膚炎問診表(PDF)
これまでの酒さについての記事をまとめております。
こちらからご覧ください。
酒さについてスタッフインスタグラムでも投稿しています。
生活で気をつけることについてはこちら
パッチテスト
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アレルギー性接触皮膚炎(かぶれ)の原因となる物質を確定するために有用な検査方法です。原因として疑わしい物質を専用絆創膏に塗って皮膚に貼り付け、2日後、3日後、7日後に判定を行います。難治な手湿疹、仕事で特殊なものに触れることがあり難治になっている方には一度、原因検索のために検査を受けられる方もおられます。
検査の詳しい方法を知りたい方はスタッフインスタグラムにて投稿しています。
こちらをご覧ください。
プリックテスト
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プリックテストとは、即時型アレルギーの原因を調べる検査です。食物や薬剤などによるアナフィラキシーや蕁麻疹などの原因検索として行っています。原因として疑われる物質の液体を皮膚に落とし、皮膚を出血しない程度に引っ掻き15分後に判定します。本検査法はすべての年齢の患者さんに行えますので乳幼児に行うことも可能です。実際にアレルギーがあってもテストで陰性である場合(偽陰性)や、逆にアレルギーがないのにテストで陽性にでる場合(偽陽性)もあるため、症状と不一致である場合は、総合的な判断が必要になります。