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アトピー性皮膚炎


アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰り返し、そう痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持ちます。アトピー素因とは、①家族歴・既往歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、あるいは複数の疾患)、または②IgE抗体を産生し易い素因を指します。アトピー性皮膚炎の治療は、炎症を抑える(ステロイド外用、タクロリムス外用)、皮膚バリア機能の回復(保湿剤、スキンケア)、悪化因子の除去(環境アレルゲン、食物アレルゲン、金属アレルギーなど)の3本柱です。そのうちのどれもおろそかにはできません。上記のような外用で上手くいく患者さんもいますし、それだけでは不十分な患者さんもいます。ナローバンドUVBなどの紫外線治療も有効です。また、当院でもデュピクセント・ミチーガやアドトラーザ、イブグリースとよばれる生物学的製剤による治療や、オルミエントやリンボック、サイバインコなどのJAK阻害薬の内服療法、コレクチム軟膏(JAK阻害薬)、プロトピック軟膏、モイゼルト軟膏などの非ステロイド外用剤を用いながら治療を行っております。小児のアトピー性皮膚炎の方にもステロイド外用剤、小児プロトピック軟膏、コレクチム軟膏(JAK阻害薬)、モイゼルトなどで治療を行っています。特に、デュピクセント希望の患者様が多く来院されています。
★スタッフインスタグラムでも疾患や治療についての投稿をしています。
・エキシマライトについての投稿はこちら
じんま疹


蕁麻疹(じんましん)は、皮膚に突然あらわれる赤みやかゆみを伴う膨疹(みみず腫れのような盛り上がり)が特徴の病気です。数時間で消えることが多いものの、繰り返し出現するため、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
蕁麻疹は大きく、症状が6週間以内でおさまる「急性蕁麻疹」と、6週間以上続く「慢性蕁麻疹」に分けられます。慢性蕁麻疹は原因を特定できないことも多く、治療が長期に及ぶ場合があります。
主な原因
・食べ物や薬剤によるアレルギー反応
・感染症
・物理的刺激(寒冷、圧迫、発汗など)
・ストレスや体調の変化
・原因不明の場合も多数
治療について
蕁麻疹の治療は、まず抗ヒスタミン薬を中心とした内服治療から開始します。これにより多くの方の症状は改善します。しかし、一部の患者様では標準的な治療だけでは十分にコントロールできないことがあります。
当院では、難治性の慢性蕁麻疹に対して、以下の最新治療を導入しています。
◎ゾレア(オマリズマブ)
ゾレアは抗IgE抗体製剤で、アレルギー反応に関わるIgEの働きを抑えることで症状を改善します。既存の治療で効果が不十分な慢性特発性蕁麻疹に有効で、多くの臨床研究で高い改善効果が報告されています。月1回の皮下注射で治療を行います。
◎デュピクセント(デュピルマブ)
本来はアトピー性皮膚炎の治療薬として知られていますが、近年、難治性の蕁麻疹にも効果が期待できることが報告されており、選択肢の一つとなっています。免疫反応に関わるサイトカインを抑えることで、かゆみや発疹を軽減します。
当院の特徴
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標準的な抗ヒスタミン薬から、ゾレア・デュピクセントといった先進的な治療まで幅広く対応
蕁麻疹は「一時的なもの」と思われがちですが、慢性的に続くと生活の質を大きく下げてしまいます。長引くかゆみや発疹でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
白癬(水虫)
足や手に水ぶくれができたり、かさかさした皮の剥けたような症状が起きて痒くなります。痒みは無い人もいます。指の股がふやけて白くなったりもしますし、かかとが硬くなったりする人もいます。股や、脇などむれる所にもよくできますが、体のなんでも無い所にできるのは、糖尿病があったり、ステロイド治療を受けている人などに多く、あまり普通の人はなりません。爪に入ると、爪が黄白色に混濁し肥厚します(ごつくなります)。苛性カリ直接鏡検法で白癬菌を確認します。確認後、足の白癬に対しては通常外用療法、爪の白癬に対しては外用療法や内服療法によって治療を行います。
★水虫についてスタッフインスタグラムでも投稿しています。
水虫の疾患についてや主に使用される薬・注意点についてはこちら
爪水虫の内服治療についてはこちら
爪水虫の塗布薬治療についてはこちら
疣贅(いぼ)


ヒト乳頭腫ウイルスの感染によって起こります。手指、足などに起こります。子供や大人などあらゆる年代に起こります。表面が硬く、盛り上がった状態です。治療は液体窒素を用います。難治な場合にはヨクイニンなどの漢方療法や、外用療法も組み合わせて治療を行います。
※水いぼの除去は平日の予約制です。予約をとり、御来院ください。
診断された際に、家族様に治療の方法を説明いたします。
麻酔のテープを貼って1時間後から処置が可能になります。
★いぼについて、種類や治療をまとめたものをスタッフインスタグラムにて投稿しています。
・ウイルス性のいぼ①はこちら
・ウイルス性のいぼ②はこちら
・非ウイルス性のいぼはこちら
多汗(脇汗・手汗・全身の汗でお悩みの方)


保険適用の脇汗(原発性腋窩多汗症)の塗り薬(外用薬)が現在2つ存在します。
1つは、エクロックゲルで1日1回、脇に外用を続けることで汗の量の改善が期待できます。
2つめは、ラピフォートワイプで腋窩多汗症の発汗を抑制します。1回使いきりのワイプ製剤で、簡便かつ衛生的に使用することができます。
また、手汗(原発性手掌多汗症)の塗り薬(外用薬)が現在1つ存在します。
アポハイドローション20%とよばれは、原発性手掌多汗症治療薬です。エクリン汗腺に対して抗コリン作用により発汗を抑制します。
全身性の多汗に対して、唯一保険適応になっているのにプロ・バンサインという薬剤があります。この薬剤はアセチルコリンの働きを妨げる薬で、抗コリン薬とも言われています。
★多汗(原発性腋窩多汗症・原発性手掌多汗症など)についてスタッフインスタグラムでも投稿しています。
・多汗についての治療概要はこちら
・エクロックゲルの使用方法はこちら
・ラピフォートワイプの使用方法はこちら
・アポハイドローションの使用方法はこちら
にきび(ざ瘡)


ニキビ(尋常性ざ瘡)は、毛穴に皮脂や古い角質がつまることで始まり、炎症を伴って赤く腫れたり膿を持ったりする皮膚の病気です。思春期に多く見られますが、大人になってからも発症する「大人ニキビ」も少なくありません。見た目の悩みだけでなく、痛みやかゆみ、ニキビ跡などにつながることもあります。
ニキビの原因
ニキビは以下の要因が複雑に関わって生じます。
・皮脂の過剰分泌(ホルモンの影響など)
・毛穴のつまり(角化異常)
・アクネ菌の増殖
・炎症反応
・生活習慣(食事・睡眠・ストレス)も悪化因子になります。
治療について
ニキビは「青春のシンボル」と軽く考えられることもありますが、放置するとニキビ跡や色素沈着につながることがあります。早期に適切な治療を受けることが大切です。当院では、以下のような治療を行っています。
◎ 外用薬
・過酸化ベンゾイル(BPO):毛穴のつまりを改善し、殺菌効果もあります。ベピオウオッシュゲルなど。
・アダパレン・トレチノイン系(レチノイド):毛穴の角化異常を改善します。
・抗菌薬外用:炎症を抑えます。
◎ 内服薬
・抗菌薬内服(ドキシサイクリンなど):炎症性ニキビに使用します。
・ホルモン治療(女性の大人ニキビに有効な場合あり)
◎ 物理的治療・施術(自費診療)
・ケミカルピーリング
・光(ノーリス)・レーザー治療(アクネ菌への殺菌効果、赤みの改善)
▶▶顔脱毛(レーザーフェイシャル)を行うことによりざ瘡もできにくくなります。
・エレクトロポレーション(有効成分を肌に浸透させる)
◎ 生活指導
・正しいスキンケア(洗顔・保湿)
・食事や睡眠リズムの改善
・ストレスマネジメント
当院の特徴
・保険診療から自費治療まで幅広く対応
・薬の使用方法は都度細かく説明
・患者様の年齢・ライフスタイルに合わせた治療
・ニキビ跡・赤みなどの長期的なお悩みにも対応
・患者様に応じたスキンケア用品の提案
★にきびについてスタッフインスタグラムでも投稿しています。
・にきびの病態についてはこちら
・にきびの進行・種類・主な使用薬についてはこちら
・ベピオローション・ゲルの使用方法はこちら
・ベピオウォッシュゲルの使用方法はこちら
・ディフェリン(アダパレン)の使用方法はこちら
・エピデュオの使用方法はこちら
・デュアックの使用方法についてはこちら
・ゼビアックスの使用方法についてはこちら
・アクアチム(ナジフロキサン)の使用方法についてはこちら
・ダラシンT(クリンダマイシンリン酸エステル)の使用方法についてはこちら
乾癬(かんせん)

皮膚が赤くなって盛り上がり、魚のうろこ、あるいは雲母状になった銀色っぽいふけの様な皮が、厚ぼったく付着したりぼろぼろ剥がれ落ちたりする病気です。うつる事はありません。原因もはっきりしないことが多いですが、生活習慣病と関連してでてくることもあります。経過の長い病気で、内服療法や外用療法や紫外線療法を行います。
当院長は乾癬外来の経験もありますので、なんでもご相談ください。
当院は日本皮膚科学会の乾癬生物学的製剤の承認施設になっております。クリニックでの乾癬の生物学的製剤の維持(継続)療法を希望される方は来院ください。
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酒さ・酒さ様皮膚炎

「酒さ(赤ら顔)」やステロイド外用剤やプロトピック軟膏、コレクチム軟膏の誤った外用療法の長期使用により生じた「酒さ様皮膚炎」という病気があります。患者さんが自覚される症状は、冬に暖房が入るようになって顔がほてる、顔がひりひり、いじいじする、不快感などがあります。海外では、メトロニダゾール軟膏が広く使われておりますが、日本国内では保険適応となり現在保険で治療が可能です。患者様によっては、テトラサイクリン(ミノマイシン)の内服療法も併用して行います。もちろん、使用していたステロイド外用剤やプロトピック軟膏、コレクチム軟膏の使用は中止していただきますが、中止によりリバウンドを認める方もおられます。
酒さには4型に分類されます。①紅斑・毛細血管拡張型②丘疹・膿疱型③鼻瘤型④眼型(眼合併症)に分類されます。①型と②型に対してはメトロニダゾール外用薬を用いて保険診療で行っております。当院は他にアゼライン酸、イベルメクチンクリームによる自費治療もおこなっております。治療は長くなるため生活指導も重要なものになります。その生活指導ですが、もともと/合併している皮膚疾患の治療や、寒暖差や紫外線などの環境因子の回避、アルコールや香辛料の過剰摂取、不規則な生活リズムの是正などです。化粧に関しては、接触皮膚炎を起こしているのでなければ化粧は今まで通りしていただき治療(ステロイド外用剤やプロトピック軟膏・コレクチム軟膏・モイゼルト軟膏の中止、メトロニダゾール軟膏の外用)を行います。
また、当院では紅斑・毛細血管拡張型の酒さに対して、Vビームより痛みが少なく副反応(ダウンタイム)の少ないIPL(光治療)(フォト治療)治療器の「ノーリス」を導入しています。ノーリスの機械による治療も行っております。ノーリスは2023年に国内ではIPLとしては唯一の血管病変に薬事承認を取得した機械になります
レーザー、IPL(光)施術による悪化を心配される方には、スプリングを用いたエレクトロポレーション(赤みに対して)を行っております。ノーリスの施術後に併用して頂くことも可能です。
※酒さ・酒さ様皮膚炎の方で、他院での治療歴が多い方は、今までの治療経過(歴)(薬剤歴)など紙やなどに書いてくださりますと助かります。薬剤歴がわかりますので、薬手帳も持参ください。
・酒さ・酒さ様皮膚炎問診表(PDF)
これまでの酒さについての記事をまとめております。
こちらからご覧ください。
YouTubeでこばとも先生と解説をしています。
上記ふたつの動画をアップしています
★酒さについてスタッフインスタグラムでも投稿しています。
・治療編はこちら
・生活指導編はこちら
パッチテスト

アレルギー性接触皮膚炎(かぶれ)の原因となる物質を確定するために有用な検査方法です。原因として疑わしい物質を専用絆創膏に塗って皮膚に貼り付け、2日後、5日後、7日後に判定を行います。難治な手湿疹、仕事で特殊なものに触れることがあり難治になっている方には一度、原因検索のために検査を受けられる方もおられます。
★検査の詳しい方法を知りたい方はスタッフインスタグラムにて投稿しています。
こちらをご覧ください。
プリックテスト

プリックテストとは、即時型アレルギーの原因を調べる検査です。食物や薬剤などによるアナフィラキシーや蕁麻疹などの原因検索として行っています。原因として疑われる物質の液体を皮膚に落とし、皮膚を出血しない程度に引っ掻き15分後に判定します。本検査法はすべての年齢の患者さんに行えますので乳幼児に行うことも可能です。実際にアレルギーがあってもテストで陰性である場合(偽陰性)や、逆にアレルギーがないのにテストで陽性にでる場合(偽陽性)もあるため、症状と不一致である場合は、総合的な判断が必要になります。