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コレクチムを酒さ・酒さ様皮膚炎に使う問題点

コレクチム(酒皶・酒皶様皮膚炎)

① 酒さの病態に対する有効性を示すエビデンスがない

コレクチムはJAK阻害薬であり、

  • IL-4
  • IL-13
  • IL-22
  • IL-31
  • IFNγ

などのサイトカインを抑制します。

一方、酒さでは

  • 自然免疫異常
  • LL-37(カテリシジン)
  • KLK5
  • TLR2
  • Demodex
  • 神経血管反応

が中心であり、JAK-STAT経路は主要な病態ではありません。

つまり

酒さの本質的な炎症を抑える薬ではない

という点が最も大きな問題です。


② 酒さ様皮膚炎を悪化させる可能性

近年、国内外でデルゴシチニブ使用中に酒さ様皮膚炎が出現した症例報告

が増えています。

特徴として

  • 頬の紅斑
  • 丘疹
  • 膿疱
  • 口囲皮膚炎様

を呈します。

つまり

治療薬そのものが酒さ様皮膚炎の誘因になり得る

可能性があります。


③ Demodexが増えやすくなる可能性

酒さでは

Demodex folliculorum

の増殖が重要です。

コレクチムによって

局所免疫が変化すると

Demodexが増殖しやすくなる可能性が指摘されています。

まだ証明されたわけではありませんが、

酒さ様皮膚炎症例ではDemodex関与が疑われています。


④ 赤みが改善しない

コレクチムは湿疹の炎症は改善しても

酒さの

  • flushing
  • 血管拡張
  • 毛細血管増生

にはほぼ効果がありません。

そのため患者は「湿疹は治ったが赤みだけ残る」

と感じます。


⑤ 診断を遅らせる

酒さを「アトピーが悪化した」

と考えコレクチムを継続すると

実際には酒さが進行してしまうことがあります。

その結果

数か月後に

  • 丘疹増加
  • 毛細血管拡張
  • 鼻部肥厚

へ進行することがあります。


⑥ 刺激感が出る患者がいる

酒さ患者は皮膚バリアが低下しているため

外用開始直後に

  • ヒリヒリ
  • 灼熱感
  • 痛み

を訴えることがあります。


⑦ 長期顔面使用のデータが少ない

コレクチムは顔面への使用は可能ですが

酒さ患者を対象とした長期安全性試験はありません。

そのため酒さ患者へ積極的に使用する根拠は乏しいと考えられます。


実臨床で特に注意するケース

近年増えているのが

アトピー性皮膚炎と思って顔にコレクチムを塗布していたら、実際は酒さ・酒さ様皮膚炎だった

というケースです。

特徴

  • 頬だけ赤い
  • 鼻が赤い
  • 毛細血管が目立つ
  • ニキビ様丘疹
  • ヒリヒリする
  • 保湿剤でしみる

このような症例では

コレクチムを漫然と継続するより

酒さを鑑別することが重要です。

 

現時点では、コレクチムが酒さを直接悪化させることを示す大規模試験はありません。一方で、症例報告や実臨床では酒さ様皮膚炎の発症例が蓄積しており、特に顔面に持続する紅斑や丘疹が出現した場合は、アトピー性皮膚炎の再燃だけでなく酒さ・酒さ様皮膚炎への診断の見直しが重要です