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コレクチム軟膏による酒さ様皮膚炎(酒さの悪化)(副作用)(酒さ(赤ら顔)の悪化)(神戸・大阪・京都皮膚科)(アトピー性皮膚炎・プロトピック)

コレクチム軟膏による酒さ様皮膚炎(アトピー性皮膚炎)(プロトピック)(ステロイド)(酒さの悪化)

酒さ様皮膚炎(口囲皮膚炎)の原因としてステロイド外用剤プロトピック(タクロリムス)軟膏が多いですが、最近、アトピー性皮膚炎治療薬「コレクチム軟膏による酒さ様皮膚炎(酒さの悪化)の方も増えてきており、来院される方も多くおられます。小児の方でもたまにおられます。

コレクチム(デルゴシチニブ)軟膏は、日本で開発されたアトピー性皮膚炎に対して効果を発揮することが期待される、世界初の非ステロイド性・外用JAK阻害薬です。アトピー性皮膚炎の患者さんだけに処方(使用)が可能な薬剤で、アトピー性皮膚炎以外の方への使用は認められておりません。JAK阻害薬はステロイド・プロトピックと同様に免疫抑制作用を有しておりますので、副作用も当然あります

また、ステロイド外用剤などを使用され「酒さ」・「酒さ様皮膚炎」と診断をされて、ステロイドはよくないからという説明を受けて、プロトピック軟膏コレクチム軟膏・モイゼルト軟膏に切り替えられる方も多いです。当然ですが、コレクチム軟膏ではよくならない・ぶつぶつ(ニキビ)が増えたと訴えられて来院される方がおられます。

その特徴ですが、

①もともとアトピー性皮膚炎もないのに処方されている(適応疾患はアトピー性皮膚炎だけです)

②ステロイド・プロトピックに比べて丘疹・膿疱(ニキビみたいなぶつぶつ)が少ない

③副作用がないと説明を受けている、長く塗布しても大丈夫と説明を受けている。

④リバウンド現象はステロイド・プロトピック外用剤に比べてひどくない

⑤酒さの炎症を抑えることができると説明を受けている

⑥顔のあかみに対してステロイド・プロトピック軟膏で効果なかったため、コレクチム軟膏を処方される

⑦酒さにも効果があると説明を受けている(データはありません)

⑧顔が赤いということをきっかけに処方されている

⑨マスクによる肌荒れをきっかけに処方をされた

⑩ニキビダニ(毛包虫)が検出されやすい

酒さコレクチム軟膏を使ったときの特徴ですが、「最初は赤みにわずかに効果があるが、止めると悪化する。そのために塗り続ける(医師に相談するとしっかり塗布するように説明を受ける)。そうするとニキビのようなぶつぶつ(丘疹・膿疱)が増えてくる。その結果、塗る前に比べて顔の症状がひどくなっている。そのため、塗布を止めることができなくなる」いう感じです。すでにリバウンドが起こり始めています。このような経過を辿っている時点で薬剤として正しくないという証拠です。

もともと、コレクチム軟膏は「酒さ」のために開発された外用薬ではありませんので、大規模な酒さの患者に対してどのような効果・副作用があるかのデータは現在のところでないので、医師も効果・副作用など知りません。上記のような説明をされているのに驚きます。

さらにいうと、コレクチム軟膏を「酒さ」に使う場合は適応外使用にあたります(現在の時点ではアトピー性皮膚炎にしか使用できないです)。それでも使うのであれば、本来であれば、倫理審査の手続きを経たうえで、患者の同意を書面で得て(インフォームド・コンセント)から自費(保険外)で行う必要があります。倫理審査などを経ずに使うことであると、ある意味人体実験(実験台)と同じことをしていることになり、その処方した医師の「倫理観」が問われる時代になっております。そのため、今は医師も倫理講習の受講が必須になっており、正しい倫理観を持って診療を行うことが求められています。

コレクチム軟膏はステロイド・プロトピック軟膏と同様に皮膚の免疫抑制効果(免疫抑制剤)をもっています。皮膚局所の免疫を抑えることによる副作用は生じて当然です。皮膚局所の免疫を下げるために毛包虫(ニキビダニ)が増える可能性もあります。そのため、副作用がないという説明は単純に嘘の説明をしていることになります。コレクチム軟膏は皮膚局所の免疫を下げる結果、「毛包炎」「ニキビ」がよくみられるのも副作用です。